こんにちは
葛飾区の母子生活支援施設あゆみ苑です。
今回の担当はケアワーカー二瓶です
以前の記事で「人の成長にはちょうどいい難易度が大事ですよ」と書きました。
そのちょうどいい難易度を専門的に言うと発達の最近接領域と言います。
今回はそんな「発達の最近接領域」について書いていきます
(難しそう…ですが、簡潔にまとめていきます)
子育てをしていると
「大人はどこまで子どもを手助けしてあげればいいの?」
「どこまで子ども一人でやらせるべき?」
と悩むことがあるのではと思います。
今回のお話はそんなお悩みの参考になるかもしれません。
発達の最近接領域とは
子どもの発達について、今できていることではなく成熟途中の発達段階に着目しようという理論。
もう少し言うと、【今より一歩先のこと、これからできてくること】にアプローチしようということ。
ちなみに英語では「Zone of Proximal Development(略してZPD)」
そしてこの「発達の最近接領域」を、以前の記事では「ちょうどいい難易度」という言葉で表現してみました。
「で、ちょうどいい難易度って何?」という話ですが、
「発達の最近接領域」でよく使われる図を見てみましょう
3つの領域に分かれていますね。
①一人でできる(簡単すぎること)
②助けがあればできる(誰かと一緒ならできること)
③一人でできない(難しすぎること)
この【①一人でできる】と【③一人でできない】の間にある
【②助けがあればできる】
まさにここが発達の最近接領域であり、成熟途中の発達段階で、ちょうどいい難易度なのです。
この【助けがあればできる領域】にアプローチして発達を促しましょうというのが、今回のキーポイントです
子どもを観察し、行動を細分化してみる
【助けがあればできる領域】があることが分かったところで、次にどうすればよいのかですね。
何よりも、現在子どもが何ができていて、何ができていないのかを見極める必要があります。
故に大切になってくるのが子どもを観察することです。
服を着替える場面を考えてみましょう。
・ズボンは一人で脱ぎ着できるか。
・シャツは一人で脱ぎ着できるか。
・ズボンを下ろすだけでなく最後まで足を抜くことができるか。
・シャツの手を抜いたあと頭まで脱ぐことができているか。
・ズボンの穴に足を入れ、出口まで足が出せるか。
・衣服の前後が反対になっていないか。
などなど…
「着替える」という行動を改めて考えてみると、意外と細かいステップがありますね。
このように子どもの行動を観察して、細分化してみることでより助けるべき部分が明確になると思います。
そして、
子どもが最後まで一人でズボンを脱ぐことができずにいるのなら、かかとに引っかかっている部分だけ外してあげる。
など“ちょっと”手伝ってあげて、あとは自分でやってもらう。
これが発達の最近接領域へのアプローチと言えるでしょう。
サポートの仕方を考えてみる
個人的にサポートの仕方は簡単に3つに分類することができると思っています。
<1⃣直接的サポート>
文字通り直接手を差し伸べて助けてあげること。
上述した着替えのように一部分を代わりにやってあげたり、一緒にやるイメージ。
<2⃣言葉によるサポート>
「気づき」や「ヒント」を与えること。
以前に経験したことを思い出させたり応用のしかたについて声かけをして、実行は全て子どもがするイメージ。
<3⃣道具によるサポート>
補助道具・サポートアイテムを使うこと。
幼児用のリング付きのお箸、鉄棒の逆上がり補助器など。ある行動が「できる」と思える経験を与える物。
1⃣と2⃣は、第一段階と第二段階と考えても良いかもしれません。
何も分からない状態の子どもに言葉で説明してもなかなか伝わらず、実践できないことがあると思います。
ですので、
まずは直接的なサポートをしてあげる(第一段階)。
その後↓
できることが増えてきたり、経験値が上がってきたら言葉でサポートしてあげる(第二段階)。
といった具合ですね。
状況や成長に合わせてどういうサポートができるのか、ひとつの参考にしていただければと思います。
まとめ
●3つある領域の内、お子さんにとっての【助けがあればできる領域】を意識しよう。
●お子さんに何ができて、何ができていないのかを観察しよう。
●一連の行動を細かく分けて考えてみよう。
●いまどんな種類のサポートがふさわしいのか考えてみよう。
「できた!」の体験はお子さんの自信を育て、さらなる難問に挑戦する糧となります。
お子さんをじっくり観察して、成長に合った“ちょっと”したサポート、意識してみてはいかがでしょうか?
それでは!
お読みいただきありがとうございました
二瓶